北朝鮮乱数放送の代表 A−3放送が全廃
朝鮮民主主義人民共和国から放送されていた音声による乱数放送(A-3)が2000年12月に全廃された。
1984年1月に「総動員歌」、1988年3月に「決戦の道へ」、そして1989年1月に平壌放送を通じての「遊撃隊行進曲&決死戦歌」で始まる乱数放送の系統が廃止されて以降、比較的安定した状態で継続されてきたA-3放送が、初の南北首脳会談が開催された2000年を持って全廃となった。
南北首脳会談後、暫くしてから徐々に乱数の頻度が落ち始め、8月25日には平壌放送を通じての「赤旗の歌」、9月11日には「金日成将軍の歌のインターバルシグナル&金日成元帥に捧げる歌」で始まる乱数放送、また9月28日には要請音楽放送が最後の放送となり、最後まで残った平壌放送を通じての「遊撃隊行進曲」で始まる乱数放送と手紙の放送も12月8日が最後の放送となった。
アジア放送研究会は2001年1月、ほぼ毎日のように放送されていた「赤旗の歌」が中断してから4ヶ月余り経ち、また定例的に放送されていた「遊撃隊行進曲」の系統の中断や、12月8日と28日の要請音楽放送の中止、1月1日のアナウンスなしの音楽放送の中止を踏まえ、朝鮮戦争以降、恐らく50年ほど続けられてきた同国からのA-3放送は2000年12月8日をもって全廃となったことを宣言した。
尚、A-1、A-2モールスによる乱数はいまだ続けられている。
懐かしいA−3放送のアナウンスパターン
乱数の基本パターンとしては、開始音楽の後、当該時間に放送される電文番号と、その電文が始まる時刻が予告される。
「この時間にはまず2833号電文をお送りし、692号電文は12時8分からお送りし、2185号電文は12時14分からお送りします」
このような予告が2回繰り返されるが、電文が一つだけの時は予告はない。
そして、「2833号電文をお送りします。2833号電文をお送りします。2833号電文をお送りします。組数21組。組数21組。本文読み上げます」の後、乱数の朗読が始まる。
1回目の朗読は、「374 79、686 53、468 80」のように3桁と2桁に区切って読まれる。一通り朗読が終わると、「もう一度読み上げます。2833号電文をお送りします。2833号電文をお送りします。組数21組。組数21組。本文読み上げます」とアナウンスがあり、2回目は「37479、68653、46880」のように5桁を一気に読み上げる。電文の最後に「以上です」というアナウンスで、一つの電文が放送終了となる。
「金日成元帥に捧げる歌」系統で音楽が放送されるときは、放送の冒頭で曲目が予告され、それぞれの曲の前にも曲目の紹介がある。
このようなパターンでA−3放送は放送されていた。
尚、アジア放送研究会では1984年から順次廃止されたA−3放送の各系統や、貴重な録音などを収録した録音集「懐かしの北朝鮮A−3放送のすべて」(仮題)の制作にとりかかっている。
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(C)2001 アジア放送研究会
2001.1.3掲載
2002.10.25更新
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- 乱数放送の動向については、「乱数放送受信レポート」もあわせてご覧ください
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