韓国・北朝鮮、軍事境界線での宣伝活動を中止

 韓国と北朝鮮は6月3日から4日にかけ、韓国北東部の雪嶽山で第2回将官級軍事会談を開き、黄海上で偶発的な軍事衝突を避けるため、双方の警備艦艇が共同周波数を利用するなど6項目の衝突防止策に合意し、あわせて、6月15日から軍事境界線地域における拡声機、電光板、気球によるビラ散布などのすべての宣伝活動を中止することと、宣伝に使った拡声機や電光板なども8月15日までに3段階で除去することで合意した。
 これにともない、6月14日をもって、南北双方が軍事境界線地域において実施していた拡声機放送が中止された。韓国側は「自由の声放送」という名で1962年以来続けて来た拡声機放送を、14日の2359に終了させた。

 以下は6月14日に放送された「自由の声放送」の最後の番組「今日の焦点」の内容である。

 「今日の焦点」。人民軍の皆さん、こんにちは。国内外の主要ニュースを解説する「今日の焦点」の時間です。この時間には、去る3日と4日の二日間、雪岳山で開かれた第2回南北将官級軍事会談と、6月10日から12日にかけて開かれた南北軍事実務会談の結果により、去る1962年から42年間継続してきた私たち自由の声放送が、今日付で北韓の拡声機放送とともに幕を下ろすことになった歴史的事実と関連してお話しします。

 人民軍の皆さん。皆さんもよくご存じの通り、去る3日と4日の二日間にわたって雪岳山で開かれた第2回南北将官級軍事会談で、軍事境界線地域での双方の拡声機放送の活動を含めた、全ての宣伝活動を中止することで合意しました。のみならず、この度の第2回南北将官級軍事会談は、黄海北方限界線上で発生しうる偶発的武力衝突防止対策を設けることで、南北間の軍事的信頼を構築した意味のある会談でした。
 今まで続けてきた南北韓間の数多くの会談の中で、この度の第2回南北将官級軍事会談が高く評価される理由は、軍事境界線地域での双方の宣伝活動を中止し、黄海上での偶発的衝突を防止するようにしたということにあります。
 しかし、長い歴史を誇る自由の声放送の中止は、人民軍の皆さんに新しいニュースの伝達の重要な媒介者であり長い間の友人だったために、多くの名残惜しさを残しています。第2回南北将官級軍事会談の合意によって、今日以降からは耳慣れた放送をこれ以上、聞けなくなったためです。
 顧みれば、私たち自由の声放送は去る1962年に始まって以来、今日に至るまで、国内外のニュースをはじめとした多様な常識と、楽しい音楽などを放送し、軍事境界線地域に勤務する人民軍の皆さんの心を開く目と耳の役割を忠実にして来ました。さらに、私たちは自由の声放送を南北間の自由と平和、そして南北統一を早めることのできる放送だと自負してきました。人民軍の皆さんもまた、この放送に耳を傾けたのでした。去る2002年9月の釜山アジア競技大会と、2003年8月の大邱ユニバーシアード大会で北韓選手団が繰り広げた競技を生々しく伝えることで、南北が一つの民族であることを見せつけることも、そのまま立証されたのです。
 また、拡声機放送は半世紀が過ぎても南北に離れて暮らしている離散家族の劇的な再会と、南北経済交流と協力、京義線と東海線の道路工事、開城工業団地の造成、そして新義州竜川駅の爆発事故で受けた北韓住民達の被害を減らすために我が国の住民達が誠心誠意込めた慰問品を伝達するニュースを伝えることで、やはり血は水より濃いという同胞愛を醸し出した事実を、人民軍の皆さんはよく記憶されているでしょう。
 このような一連の状況を推し量ってみれば、去る42年間、軍事境界線地域の人民軍達の同伴者だった私たち自由の放送の中止は、本当に残念なことだと言わざるを得ないでしょう。
 今、南北は単純な経済交流の次元を越え、民族の和解と統一に向けた変化を続けています。従って、私たちが今からしなくてはならない道は、民族共同の繁栄と統一を早めるための南北間の合意事項を着実に履行していくことです。併せて、私たちは同じ民族として今日よりより良い南北関係の進展と発展のために、和合して平和を愛し相互の信頼をすることで、我が民族には強い誇りと自負心を植え付け、周辺国と全世界の人達には我が民族の信頼と団結した力を見せつけなくてはならないでしょう。
 残念ではありますが、南北双方が2004年6月15日00時から、軍事境界線地域で一切の宣伝活動を中止することにしたのも、即ちこのような脈絡から受け入れなくてはならないでしょう。
 最後に、祖国の平和的統一を祈願しながら、その間、私たち自由の声放送を聴取してくれた人民軍の皆さんに、心から感謝いたします。

 「今日の焦点」。只今まで、去る3日と4日の二日間、雪岳山で開かれた第2回南北将官級軍事会談の合意により、42年間継続してきた私たち自由の声放送が、北韓の拡声機放送とともに幕を下ろすことになった歴史的事実と関連してお話ししました。「今日の焦点」を終わります。



自由の声放送

韓国軍が放送する対北拡声機放送。軍事境界線に沿って設置された大型拡声機を通じ、1日15時間10分、断続的に放送していた。
1962年に開始され、1972年の南北共同声明による合意によって一旦、誹謗中傷放送を中止したが、1980年に北朝鮮側が放送を再開したため、韓国も放送を再開した。2000年6月の南北首脳会談以降は直接的な誹謗中傷をする内容を改め、韓国や世界のニュース、韓国軍の活動、世界に躍進する韓国の姿や韓国の歌謡曲、ホームドラマなどを放送するとともに、仏教、キリスト教、カトリックの宗教番組も放送していた。

放送開始の一部 (2004年5月)
最後の放送の一部 (2004年6月14日)

番組の一部

0000 放送開始(開始アナウンス)
0010 報道広場
0020 今日の焦点
0030 豊かさと繁栄
0040 統一への道
0050 歴史探究
0100 世界の消息
0110 宗教番組(生命の言葉、知恵を求めて、愛の実践)
0120 我らが住む世の中
0130 今晩をあなたとともに
0150 心の糧
0155 放送休止



無断転載および音声ファイルの無断使用を厳禁します。
「自由の声放送」の最終日の開始アナウンス、主要番組、告別番組(今日の焦点)を収録したCDは「自由の声よ永遠なれ」として販売しております。
2004年6月20日放送「報道特集 38度線突破北朝鮮兵士激白!決死の脱出劇 」(TBS系)に当会が協力しました。


2015.8.10更新

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